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羽根守のハネブログ

羽根守が思ったことを書いていく、そんなブログです。

私が、読書感想文が嫌いなワケ

 

 誰しもが思ったことがある。

 ――なぜ、読書感想文はあるのか?

 読書感想文の狙いは、本の感想はもとい、感銘を受けた部分を引用し、それを元に自分の考えを意見するのが目的とされている。本の「感想」というよりも、本の書いていることをを引用し、自分の考えを訴える「論文」を作り上げる文章力こそ、読書感想文側が求めている答えである。

 とはいえ、読書感想文はもっと自由に書いてもいいと思う。それこそ、アニメを題材にした二次創作を書くように、小説に出てくるキャラクターや世界観を題材にした二次創作小説にしてもいいはずである。しかし、読書感想文は400文字づめ原稿用紙5枚という文字数制限があり、ちょっとしたショートショートを書くことも難しい。息苦しい論文口調の感想文になってしまうわけだ。――まあ、息苦しい論文口調の感想文になるわけは、原稿用紙のマスを埋め尽くすためにわざと、「思いました。感じました。考えられました」という、丁寧語という三種の神器の一つを行使しているわけだが。なお、あとの二つは、あとがき、と、コピペ、である。

 2000文字以内で書けることは本から一つの主題を読み切り、その主題を自分の意見や経験を交えて、自分の意見を主張することぐらいしかできない。しかも、学校の課題ということもあり、その意見と経験は学校側に迎え入れてくれる道徳的なモノでなければならないと、こどもは思い込む。よって、夏休みの課題として取り入れられている読書感想文は、エンジョイしたい夏休みを転ばせる大きなシコリとして、こどもたちを悩ませている。

 別段、読書感想文を書かなくても人生において何の問題もない。読書感想文コンクールに選ばれても、誰も覚えていないというのが現実である。それでも、読書感想文を書かないと、あれだけ長い夏休みを何のために過ごしてきたのかと人間性を否定されるがため、カラッポな脳みそから文字をぞうきんのごとくしぼりださないといけない。

 読書感想文を書くのはとてもつらい。一番、つらいのは読書感想文のために読む小説である。こどもにとって、動きのない文字を読まされても面白くない。それならマンガやアニメで感想を書いた方がいいはずだ。私はディズニーのクリスマス・キャロルを読書感想文として書くことで、読書感想文から逃げた。

 本を読むことが多くなってきた現在において、読書感想文は書いてもいいかなと思うことが多々ある。推理小説の犯人をバラしたり、ホラー小説のオチを言ったりして、先生を悔しがらせたいと夢見ることがある。事実、読書感想文はなんであれ、先生はその生徒のために、ちゃんと、読んでくれるからだ。ブログやツイッターを閲覧する人間よりも、その生徒の気持ちを共感し、または違うと叱ったり、声を返してくれる。

 読書感想文は先生、つまり、自分よりも上の大人のヒトと文章的な対話ができる機械である。ありあまる夏休みの時間を使って、2000文字以内で本の感想を伝える。論文的な書き方でいい。口語的にラフに書いてもいい。自分を良いコと評価されたいと道徳的なことを書いてもいい。ただ、先生という大きな存在と、本の話ができる、チャンスということを忘れてはいけない。

 今の読書感想文はそんな本の話をする機会を失った傀儡制度にすぎない。

 本の感想を通じて、自分の意見を言う。

 なんだよそれ。自分の意見って、本の言葉を引用しないと言えないのか?

 それって、誰かの言葉を引用して、相手を非難するヤツと一緒じゃないのか? 

 私にとって、読書感想文が嫌いなのは、そういうこと。モラル的なことをカタチ付けるために無理やり書かせる。読書感想文はこどもを道徳的な人間に擬態させるために、ネコカブリさせる第一歩を踏ませている。

 それで書く力を生み出せるはずがない。本を読む力をろくに教えていないのに、本の感想を書いてください、それも世間に見せても恥ずかしくないご立派なモノを見せてくださいと言われても、無理って話だ。文を読む力が発展途上中のこどもに、そんな難しいことを与えるのは厳しすぎる。小学生は読書感想文を書くのではなく、本を多く読んだ! という評価システムの方がいい。学力がつき、語彙が増えた中高生にこそ、読書感想文を書かせるべきだ。

 とはいえ、中学生高校生は読書感想文が一番ダルくなる歳だ。小学生で経験したカタハマリな道徳観を踏まえた上で本を読んだ感想をネコカブリ気味に書く。メンドクサイ。誰かの書いた読書感想文をコピペしたがるのもわかる。自分の読んだ本の感想がヒトと違っていたら怖いし、不安定になる。普通の学生と違うってだけで、思春期特有の恥ずかしい感情に刺激されて、モノがうまく書けないのだ。

 でも、その読書感想文でいいと思う。少なくともちゃんと本を読んで自分の声で書いたのならそれでいい。変にいきがると、先生と対話ができる機会をなくしてしまう。大人になったらそんな機会は何処にもないのだ。

 

 と、原稿用紙400文字5枚分、つまり、2000文字以内で、読書感想文の読書感想文について書いてみた。読書感想文をコピペやあらすじですませて、自由な夏休みを謳歌するのもいいが、読書感想文は自分を読んだ小説を声にする機会でもある。

 そんな読書感想文に本気にぶつかってもいいんじゃないかなと、ブログで書いた。読書感想文に悩んでいるのなら、一度、ぶつかって、笑われて、撃沈してみるのも乙なものだ。キミのことを知ってもらう本気の読者がいるのだから。