羽根守のハネブログ

羽根守が思ったことを書いていく、そんなブログです。

モノ書きのパラメーターについてドラクエ風味に考えてみる

 

 モノ書きのパラメーターについてドラクエ風味に考えてみる。

 

 この考え方は書き手としての自分を認識する際にとても役に立つと思う。

 

 それでは、まず、基本のパラメーターについて。

 

 > HP:自分自身の「信頼度」、読者の「期待度」

 > MP:トリックや設定などの「引き出し」や「やる気」

 > 攻撃力:読み手の心を動かす「文章力」

 > 守備力:作品の設定や世界観の「矛盾点」や「批判点」

 

 ・ HP:自分自身の信頼度

 

 HPは自分自身の信頼度。簡単にいえば、これから面白くなっていくという「期待感の持続性」と言ってもいいだろう。この信頼度がなければ、読者はすぐ飽きて、読まなくなる。すなわち、作者としてのHPがすぐゼロになるわけである。

 例えば、一発屋芸人がすぐテレビからいなくなるのは、このHPがゼロになるからである。ずっと同じネタを繰り返されたら面白くなり、飽きる。そうなると、視聴者の期待感の持続性が失われ、信頼度がなくなるというわけだ。

 結局、モノを書くということは誰かに何かを伝えるということ。モノを読む人がいなければ、書いたものは意味がないもの。このHPには気を使っていきたい。

 

 ・ MP::トリックや設定などの「引き出し」や「やる気」

 

 MPは引き出し。推理小説で言う所のトリック、ファンタジー小説で言う所のキャラクター設定や世界観、などの所有の数をさす。

 まず、小説を書くのであれば、このMPを上げることから始まる。どうやって上げるかは人それぞれ。私の場合、本を読んだり、勉強をしたり、これを血肉にしようという意識で高めている。

 MPをある程度高めた所で、MPを消費しながら、モノを書き続ける。このMPが多ければ多いほど、文章を多く書くことができるはずだ。

 また、他にも「やる気」がMPと言ってもいいだろう。何かを表現したいという気持ちこそが文章の源。やる気、モチベーションも高めていきたいものだ。

 

 ・ 攻撃力:読み手の心を動かす文章力

 

 この攻撃力こそが作品の核となる。この攻撃力が高ければ高いほど、読者を次の1ページへと動かす原動力となり、この作品は面白いなと思ってくれる。

 語彙力、文法力、構成力、設定力、などなど、文章における総合的な力を束ねたものが攻撃力であるわけだ。

 

 しかし、どうやって文章力を高めていけばいいのか? それが問題となる。

 

 基本は何かから設定を借りて、その設定から文章を書いてみるのがいいだろう。童話から借りてもいいし、好きなアニメやゲームから借りてもいい。ただ、それは二次創作となるので相手から「武器」を借りたようなものでもあるので注意が必要となる。幾ら、語彙力、文法力、構成力が上がろうが、「設定」を描くことができなければ、いつまで立っても、借り物でしか物が書けなくなってしまう。

 だが、借り物だとしてもモノを書くことには代わりはない。なぜなら、それは作品として存在できることである。だから『借り物だからよくない』とあまり意識しない方が良い。ただ、それはパクリであることは意識した方がいいだろう。

 

 あと、攻撃力を上げても命中力がなければ、意味がない。命中力は流行のアンテナを感知できる観察力や、読者の無意識に眠る感性を察知できる力が必要である。プロはこの命中力が高く、読者の心を狙うのがとてもうまい。個人的には攻撃力よりも命中力を磨くことが大切だと思う。まあ、ある程度攻撃力をあげたらの話である。

 

 ・ 守備力:作品の設定や世界観の矛盾点や批判点

 

 守備力は、この作品にツッコミどころがないかという批判点。「これ、現実的でないだろう」と、ふと、素へと戻らせるウィークポイントでもある。

 例えば。恋愛ドラマで超お金持ちのイケメン御曹司が主人公であるブスな少女と恋に落ちるという話があるとする。はい、守備力がゼロの矛盾の塊で、読者からの非難が上がるだろう。こういう声が上がるのは、ブスな少女が自分と重ねたくもないという読者の気持ちにある。感情移入できるポイントにブスというファクターを入れたのは良いが、自分がブスだという認識を生み出し、「ありえない」という意識が高まってしまうからだ。

 イケメン御曹司が一番の矛盾じゃないの? という意見もあると思うが、この要素こそ作家の命中力であり、攻撃力。これが読者の心をわしずかみする武器と言える。こういう「ありえないけどあってほしい」という読者の気持ちを撫でるのも攻撃力であろう。

 さて、ここで、この設定でどうやって守備力を上げるべきか。私の場合、主人公を「ブスな少女」でなく、「無口でおしとやかな少女」と置き換えてみるとどうだろうか。そうすれば、主人公は感情移入できるキャラクターとなり、読者の気持ちが重なるはずである。今まで守備力が裸一貫だったのに、プラスへと転換するはずだ。

 

 ・ 守備力と攻撃力の関係性 

 

「守備力」はジャンルによって、ゼロに近い作品もあるし、高すぎる作品がある。どちらかというとラノベは他の小説と比べて守備力が低く、その代わり、攻撃力が高いと思う。ラノベで受けるには作家のパラメーターを攻撃力に全振りし、守備力は他の設定からパクるというのが良いのかもしれない。

 それを意識して書いているのか書いていないのかわからないが、攻撃力がありあまるラノベ作品が増加している。しかし、それは同時に守備力がゼロに近い作品が世に出ていることでもある。そういう作品はすぐ読者からの批判があれば、HPがすぐゼロになってしまう。そうなると、読者がみるみるうちに離れて行き、最後的には打ち切りへと追い込まれることだろう。

 それに、攻撃力の高い武具はMPをすぐ枯渇させる。妄想力や引き出しがいくらあろうとも、守備力がまったくない状態では、いつかダムにできた穴のごとく、音を立てて決壊することだろう。

 

 ・ 自分が上げるべきのはパラメーターは攻撃力? 守備力?

 

 モノを書くためには攻撃力を上げるべきか、それとも守備力を上げるべきか。それは自分自身の問題だと思う。そう言ってしまえば元も子もないが、攻撃力を上げるためには日頃から引き出しや文章を書かないといけないし、守備力を上げるためには勉強をしなければならない。それと同時に、引き出しを増やすために、MPを高めないといけない。こう考えると、日頃の練習をする際には、攻撃力と守備力のバランスよりも、攻撃力とMPのバランスが大事になる。結局、よく本を読む人間がよい文章を書くという理屈が通ることになる。

 まあ、個人的には守備力をあげつつ、MP、攻撃力を上げ、HPを高めていきたいのが理想だ。しかし、人間の気持ちというものはどうしても誰かから意見をもらいたがるもので、攻撃力に力を入れてしまう。つまり、どうでもいい作品につい話を盛り込んでしまう。せっかく貯めた設定やトリックをその場その場で使ってしまい、後々になって使えにくくなる。

 こうなると,筆は次第に止まってしまい、書くのが嫌になる。自分で自分の首を締めてしまうのが守備力ゼロの怖いところだ。

 そういうのがあると意識しつつ、何か面白いものを書きたいところだ。